荒川区に住んで3年が経ちますが、2022年10月にオープンした土器作り体験教室「土の子」は、私がこの街で出会った最も印象深いスポットの一つです。実際に2年前にここで土器を作った体験者として、この特別な工房の魅力を皆さんにお伝えしたいと思います。
土を砕くところから始まる、本格的な土器作り体験
「土の子」の最大の特徴は、なんといっても土を砕くところから始める本格的な土器作りにあります。一般的な陶芸教室とは全く違う、まさに縄文時代から続く土器作りの原点を体験できるのです。
武蔵野美術大学陶磁専攻出身の西山彩子さんと我妻泉香さんが営むこの工房では、スタッフが実際に掘ってきた土を木槌で砕くところからスタート。私が体験した際には、埼玉まで土を掘りに行ってきたというお話を聞かせていただきました。自然の土がこうして器になっていくプロセスを一から体験できるなんて、本当に貴重ですよね。
土を砕く作業は想像以上にストレス発散になりました!木槌を振り下ろしながら「今日の疲れも一緒に砕いちゃえ」なんて思いながら作業していたのを覚えています。砕いた土はふるいにかけて、石や不純物を取り除き、最後に水を少しずつ混ぜながら粘土状にしていくのですが、この一連の工程を経ることで「土から粘土へ」の変化を肌で感じることができます。

荒川区モノづくり見学・体験スポットガイドに新規登録
荒川区では「モノづくり見学・体験スポット」(通称:モノスポ)として、製造工程の見学やモノづくりの体験ができる工場・工房等を紹介していますが、「土の子」もこの貴重なスポットの一つとして新規登録されました。これまで荒川区の伝統工芸といえば鍛金などの加工が有名でしたが、土器作りという新しい体験が加わったことで、さらに魅力的な選択肢が増えたと実感しています。
私のブログでは、この「荒川区モノづくり見学・体験スポット」について詳しく紹介した記事も書いていますので、他のスポットにも興味がある方はぜひご覧ください。

実際に体験してわかった土器作りの奥深さ
体験の流れと料金
項目 | 手びねりコース | 電動ろくろコース |
---|---|---|
料金 | 1名:7,000円 2名:6,000円/名 3〜6名:5,000円/名 (すべて税込) | 1名:7,700円 2名:6,600円/名 3名:5,500円/名 (すべて税込) |
時間 | 80分(超えると延長料金) | 80分(超えると延長料金) |
参加人数 | 最大6名 | 最大3名 |
対象年齢 | 4歳以上 | 4歳以上 |
特徴 | 自由な形を作りやすい | 丸い形の土器に最適 |
※別途料金: 焼成費500円〜(サイズにより変動)、延長料金10分ごと500円
私は初回で手びねりコースを選択しましたが、これが大正解でした。電動ろくろよりも自分のペースで作業でき、思うような形に仕上げることができました。
体験時の手順と注意点
1. 土砕き・練り(約15分)
- 木槌での土砕きは力というよりも、初めてやると同じ動作の繰り返しで腕が疲れます
- 砕いた土はふるいにかけて、石や不純物を取り除きます
- 最後に水を少しずつ加えながらしっかりと練って、粘土状にしていきます
- この練り作業が意外と重要で、空気を抜きながら均一な状態にすることで成形しやすくなります
- 服装は必ず汚れますので、汚れても良い服装は必須(エプロンレンタル+100円もあり)
- 土埃が舞うので、気になる方はマスク持参がおすすめ
- 爪は短めにしておくと作業がしやすくなります


2. 成形作業(約60分)
- 手びねり:手ろくろ(手で回すタイプ)を使用し、自分のペースで作業。複雑な形や独創的なデザインも作りやすく、初心者におすすめ
- 電動ろくろ:電動で回転するろくろを使用。遠心力を利用してきれいな円形が作れるが、コツが必要で多少慣れが必要
- 最初は思うようにいかなくても、失敗しても作り直せるのが土器の魅力
- スタッフの方が丁寧にサポートしてくれるので初心者でも安心
3. 仕上げ(約15分)
- 表面を滑らかにしたり、模様を付けたりする最終工程
- 木のへらや紐、貝殻などを土器の表面に押し付けて、オリジナルの模様を作ることができます
- 縄文時代の土器のような縄目模様や、幾何学的なデザインなど、自由な発想で装飾を楽しめます
- ここで個性が光る作品に仕上がります

実際に作った感想と良かった点
私は小さな塩つぼと置物を作りましたが、完成したときの達成感は格別でした。土器特有の温かみのある質感が何とも言えず愛着のわく仕上がりに。
体験工房内には、スタッフの西山さんと我妻さんが制作された様々な土器が美しく並んでいて、どれも購入することができます。茶碗やタンブラー、調味料入れ、花瓶、キャンドルホルダーなど多彩な作品があり、自分で作る際の参考にもなりますし、プロの技術を間近で見ることで「こんな風に作りたい」というイメージも膨らみます。
特に良かった点:
- 1枠1組限定なので周りを気にせず集中できた
- スタッフの方のマンツーマン指導で安心
- 土の持ち込み可能(思い出の場所の土で作れる!)
- 土器、土偶、はにわなど何でも作り放題の自由度
- 工房内の完成作品を見ながら、制作のヒントが得られる
詳細な料金やオプションについては、公式サイトで最新情報をご確認ください。
注意すべき点:
- 作品は約1ヶ月の乾燥後、800℃前後で焼成されるため後日受取り
- 焼成費が別途500円〜(サイズにより変動)かかります
- 爪は短く切っておいた方が作業しやすい
- 予約時間から体験開始なので、遅刻すると製作時間が短くなってしまいます
- 集中すると時間があっという間に過ぎるので、余裕を持ったスケジュールを
- 土の特性上、乾燥や焼成でごく稀にヒビが入ることがある
手前の薄い色を下キウイは一目ぼれして工房で購入しちゃいました。

予約時の注意点
体験は完全予約制で、キャンセルポリシーもしっかりしています。前日18時までのキャンセルは無料ですが、無断キャンセルは体験料100%請求、当日キャンセルでも連絡があれば50%となります。計画的な予約を心がけましょう。
また、体験後に汗や土で汚れた身体をさっぱりさせたい方は、向かいの銭湯「梅の湯」もおすすめです。タオルや着替えを持参すれば、土器作り→銭湯→地元グルメという最高のコースが楽しめますよ。
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
店名 | 土の子(つちのこ) |
住所 | 東京都荒川区西尾久4-12-34 コーポ庄子102 |
アクセス | 都電荒川線小台停留所から徒歩5分、JR尾久駅から徒歩9分、JR田端駅から徒歩15分 |
営業 | 完全予約制 |
予約方法 | 公式サイトまたは電話 |
体験料金 | 手びねり:5,000円〜7,000円/名 電動ろくろ:5,500円〜7,700円/名 (人数により変動、別途焼成費500円〜) |
@tuchinoco_doki |
地元民の私からのおすすめポイント
「土の子」が単なる土器を作る体験教室ではなく、心から土と向き合える貴重な場所だということです。
大人になった今、砂場で遊ぶわけにも自然素材の砂や土で何かを作るということはあまりできません。
子供のころ粘土で夢中になっていた時のように、現代の忙しい生活の中で土に触れながら無心になれる時間は本当に貴重だと思いました。
特に初心者の方には、失敗を恐れずにチャレンジしてほしいです。土器は失敗しても作り直せるし、何より作る過程そのものが楽しいのです。私も最初は「うまく作れるかな」と不安でしたが、土に触れているうちに自然と集中状態に入り、気がつくとあっという間に80分が過ぎていました。
完成した土器は今でも愛用していて、塩つぼは毎日のお料理で活躍し、置物は玄関に飾って帰宅のたびに温かい気持ちになります。自分で作った器がある暮らしは、本当に格別の豊かさをもたらしてくれます。
まとめ:西尾久の新しい魅力を発見してみませんか?
荒川区の下町情緒と本格的な土器作り体験が融合した「土の子」は、きっとあなたにとっても特別な場所になるはずです。都電荒川線で気軽にアクセスできる立地も魅力的で、観光気分で楽しむこともできます。
土を砕くところから始まる本格的な土器作り体験は、他では味わえない特別な時間。荒川区モノづくり見学・体験スポットガイドに新規登録された注目の工房で、ぜひあなただけの作品を作ってみてください。
予約は必須なので、興味を持たれた方は早めに公式サイトをチェックしてみてくださいね。きっと、心に残る素敵な体験になることでしょう。
そんな土の子のWebサイトはこちらです。