「あー、極楽極楽」
露天風呂に浸かりながら、隣のおじさんがつぶやいた言葉。これが日本の銭湯文化の真髄です。
荒川区には約20軒の銭湯が現役で営業中。大正時代から続く老舗から、2016年にリニューアルした最新施設まで、たった550円で本物の日本文化を体験できます。スーパー銭湯とは違う、地域に根ざした銭湯の魅力をご紹介します。

なぜ荒川区が銭湯巡りのベストエリアなのか
1. 東京23区屈指の銭湯密度
都電荒川線沿線を中心に、徒歩圏内に複数の銭湯が点在。1日で3〜4軒の「はしご湯」も可能です。
2. 新旧バランスの良さ
宮造りの伝統建築から最新設備まで、多様な銭湯体験ができるのは荒川区ならでは。
3. 下町の人情
観光地化されていない分、地元の常連さんとの自然な交流が生まれやすい環境です。

荒川区銭湯ベスト6完全ガイド
1. 日暮里斉藤湯:最新設備の近代銭湯
住所 | 荒川区東日暮里6-59-2 |
営業時間 | 14:00〜23:00 |
定休日 | 金曜日 |
アクセス | JR日暮里駅から徒歩3分 |
特徴 | 高濃度炭酸泉、露天風呂、シルキー風呂 |
2015年リニューアル。温泉旅館のような外観で、初心者でも入りやすい雰囲気。露天風呂の乳白色シルキー風呂(微細気泡風呂)は、肌がつるつるになると評判です。

2. 梅の湯:話題の高濃度水素風呂
住所 | 荒川区西尾久4-13-2 |
営業時間 | 15:00〜25:00(深夜1時) |
定休日 | 月曜日 |
アクセス | 都電荒川線「小台」徒歩7分 |
特徴 | 高濃度水素風呂、サウナ無料、焼鳥店併設 |
2016年に建物を一新。都内銭湯初の高濃度水素風呂が話題。敷地内の「焼鳥 梅京」で、湯上りの一杯も楽しめます。深夜1時まで営業は嬉しい。

3. 千歳湯:富士山ペンキ絵の伝統銭湯
住所 | 荒川区西日暮里4-8-4 |
営業時間 | 15:30〜24:00 |
定休日 | 金曜日 |
アクセス | 千代田線「西日暮里」徒歩5分 |
特徴 | 宮造り建築、富士山ペンキ絵、薬湯 |
まさに「THE 銭湯」。宮造りの外観と、浴室の富士山ペンキ絵は必見。これぞ日本の銭湯という風情を楽しめます。

4. 大勝湯:朝風呂が楽しめる広々銭湯
住所 | 荒川区南千住1-19-4 |
営業時間 | 10:00〜21:00 |
定休日 | 水曜日 |
アクセス | 都電「三ノ輪橋」徒歩1分 |
特徴 | 7つの浴槽、朝10時から営業 |
ジョイフル三ノ輪商店街の中にある地元密着型。7つの浴槽はすべてぬるめ設定で、ゆっくり浸かれます。
5. 草津湯:薪で沸かす本格派
住所 | 荒川区南千住7-26-2 |
営業時間 | 15:00〜22:00 |
定休日 | 火曜日 |
アクセス | JR南千住駅から徒歩4分 |
特徴 | 井戸水使用、薪焚き、実母散薬湯 |
今では珍しい薪で沸かす銭湯。井戸水を使用したお湯は、なめらかで肌に優しいと評判。
6. ニュー恵美須:バリアフリー対応
住所 | 荒川区東尾久4-17-9 |
営業時間 | 14:30〜22:00 |
定休日 | 月曜日 |
アクセス | 日暮里舎人ライナー「赤土小学校前」徒歩1分 |
特徴 | 段差少ない、和室休憩所、湿式サウナ |
高齢者や体の不自由な方にも配慮した設計。和室でゆっくり休憩できるのも魅力。

銭湯デビューのための基本マナー
これだけ守れば大丈夫!5つの基本
- かけ湯をしてから入る
体と頭を洗ってから湯船へ。最低限、かけ湯は必須。 - タオルは湯船に入れない
頭に乗せるか、湯船の外に置く。 - 湯船では静かに
泳いだり、潜ったりはNG。 - 洗い場は座って使う
シャワーの水が周りに飛ばないよう配慮。 - 脱衣所に戻る前に体を拭く
床を濡らさないための心遣い。
料金と持ち物ガイド
基本料金(東京都統一)
- 大人(中学生以上):550円
- 中人(小学生):200円
- 小人(未就学児):100円
お得情報:毎週土日は「銭湯家族の日」。親子利用で小学生以下2名まで無料!
持ち物チェックリスト
必須
- 入浴料(現金)
- タオル類(レンタルは200円程度)
あると便利
- シャンプー・ボディソープ(多くは無料提供)
- 小銭(ドライヤー用)
- ビニール袋(濡れたタオル用)

銭湯巡りモデルコース
半日コース:初心者向け(約3時間)
15:00 日暮里斉藤湯で銭湯デビュー
16:30 日暮里繊維街を散策
17:30 谷中銀座で夕焼けだんだん鑑賞
1日コース:はしご湯体験(約6時間)
10:00 大勝湯で朝風呂
11:30 ジョイフル三ノ輪で食べ歩き
14:00 千歳湯で富士山ペンキ絵鑑賞
16:00 都電荒川線で移動
17:00 梅の湯で水素風呂体験
18:30 焼鳥梅京で一杯
季節別おすすめの楽しみ方
春:桜湯
3〜4月限定で多くの銭湯が「桜湯」を実施。湯船に桜の花びらが浮かぶ風流な体験。
夏:薬湯でさっぱり
ハッカ湯やレモン湯など、清涼感のある薬湯が登場。エアコンで冷えた体を温めるのにも最適。
秋:もみじ湯
紅葉の季節には、湯船に本物のもみじが。見た目にも美しい。
冬:ゆず湯
冬至の日はゆず湯。香り高いゆずで体の芯から温まります。

銭湯での「あるある」体験
常連さんとの会話
「どちらから?」「今日は冷えますねぇ」といった何気ない会話から始まる交流。これが銭湯の醍醐味。
湯上りの定番
腰に手を当てて飲む瓶入り牛乳やコーヒー牛乳。なぜか格別に美味しい。
温度の好み
「今日は熱いね」「ちょうどいいよ」常連さんたちの温度談義に耳を傾けるのも楽しい。

外国人観光客へのアドバイス
言葉の壁を越えるコツ
- 笑顔と「すみません」「ありがとう」だけでOK
- 分からないときは周りの人を見て真似る
- スマホの翻訳アプリを活用
タトゥーについて
残念ながら、多くの銭湯でタトゥーは禁止。事前に確認するか、タトゥーカバーシールの使用を検討してください。

まとめ:550円で体験する、かけがえのない日本文化
スーパー銭湯や温泉施設もいいけれど、地域に根ざした銭湯には特別な魅力があります。常連さんとの何気ない会話、富士山のペンキ絵、湯上りの一杯。
荒川区の銭湯は、観光地化されていない分、本物の日本の日常を体験できる貴重な場所。たった550円で、プライスレスな思い出が作れます。
次の休日は、タオル一本持って銭湯へ。きっと「あー、極楽極楽」とつぶやく自分に出会えるはずです。
