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    江戸蕎麦御三家「砂場」の総本家|三ノ輪の文化財指定蕎麦屋で味わう伝統の味

    東京さくらトラム(都電荒川線)三ノ輪橋駅から徒歩わずか2分。下町情緒あふれる「ジョイフル三ノ輪」商店街の中ほどに、江戸蕎麦御三家のひとつ「砂場」の総本家があります。明治45年(1912年)に現在の地に移転して以来、100年以上にわたって伝統の味を守り続ける老舗蕎麦屋です。

    目次

    江戸蕎麦御三家「砂場」の歴史と由来

    「砂場」は、江戸時代から続く蕎麦屋の老舗として、「更科」「藪」とともに「江戸蕎麦御三家」と呼ばれています。その起源は意外にも大阪にあります。

    大阪から江戸へ―砂場蕎麦のルーツ

    砂場の名称は、豊臣秀吉による大坂城築城(1583年)の際、資材置き場として砂が置かれていた「砂場」に由来します。この場所で土木作業員向けに営業していた蕎麦屋が「砂場」と呼ばれるようになり、江戸時代中期に江戸へ進出しました。

    1751年の『蕎麦全書』には「薬研堀大和屋大坂砂場そば」の記載があり、この頃にはすでに江戸で知られた存在だったことがわかります。

    砂場総本家の系譜

    現在の砂場総本家は、江戸時代に「糀町七丁目砂場藤吉」として営業していた店が、明治45年(1912年)に現在の南千住に移転したものです。ここから幕末に「室町砂場」、明治初期に「虎ノ門大坂屋砂場」が暖簾分けし、それぞれ独自の発展を遂げています。

    店名創業・暖簾分け時期特徴
    砂場総本家1912年現在地へ移転砂場の直系本家
    室町砂場幕末期に暖簾分け「天ざる」発祥の店
    虎ノ門大坂屋砂場1872年(明治5年)大阪発祥を屋号に残す

    店舗情報・アクセス

    店名砂場総本家(すなばそうほんけ)
    住所〒116-0003 東京都荒川区南千住1-27-6
    電話番号03-3891-5408
    営業時間11:00~17:00
    定休日水曜日、木曜日
    ※月2回不定期で火曜日も休業
    アクセス・都電荒川線 三ノ輪橋駅から徒歩2~3分
    ・東京メトロ日比谷線 三ノ輪駅から徒歩6分
    ・JR常磐線 三河島駅から徒歩12分
    支払方法現金のみ
    座席数約30席(テーブル席・座敷)
    駐車場なし(近隣にコインパーキングあり)

    アクセス詳細

    都電荒川線の終点「三ノ輪橋」駅で下車し、ジョイフル三ノ輪商店街のアーケードに入って約100メートル。昭和レトロな木造建築が目印です。商店街内は自転車の通行も多いため、歩行にはご注意ください。

    文化財指定の建物と昭和レトロな店内

    昭和29年(1954年)に建築された現在の建物は、総ヒノキ造りの貴重な木造建築として荒川区の文化財に指定されています。船底天井など当時の建築技術を今に伝える貴重な建造物で、建築研究者も訪れるほどです。

    店内に一歩足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたかのような空間が広がります。年季の入った調度品や什器、木の温もりを感じる内装は、昭和の蕎麦屋の雰囲気をそのまま残しています。海外からの観光客にも「authentic Japanese atmosphere」と好評です。

    おすすめメニューと価格

    看板メニュー「天ざる」

    砂場総本家の天ざる:海老と野菜の天ぷらが乗った盛り合わせ

    砂場総本家の看板メニューは「天ざる」(1,550円)。海老に加え、にんじん、しめじ、なす、かぼちゃなど季節の野菜5種類の天ぷらが楽しめます。特に人参の掻き揚げは、ほっこりとした甘みが評判です。

    冷たい蕎麦

    • もり(650円)
    • ざる(750円)
    • 天ざる(1,550円)★人気No.1
    • 天もり(1,450円)
    • おろし蕎麦(950円)

    温かい蕎麦

    • かけ(700円)
    • 天ぷらそば(1,320円)
    • カレー南蛮(1,100円)
    • 合鴨南蛮(1,400円)※冬季限定
    • 天ちらし(1,450円)

    土日祝日限定サービス:天ざる・天もりの海老天が通常より大きいサイズで提供されます!

    蕎麦の特徴

    砂場総本家の蕎麦は、蕎麦の実の中心部を使用した上品な二八蕎麦。細く白い麺は、程よいコシと滑らかな喉越しが特徴です。江戸っ子好みの「噛まずにすする」食べ方に適した、柔らかめの食感に仕上げられています。

    つゆは、砂場系の伝統を受け継ぐやや甘めで濃いめの味付け。これは元々出前が主流だった時代、時間が経って麺が伸びても美味しく食べられるよう工夫された名残です。

    海外からのお客様への充実したサービス

    江戸蕎麦の伝統を世界に発信する砂場総本家では、増加する外国人観光客の皆様にも日本の蕎麦文化を存分に楽しんでいただけるよう、様々な取り組みを行っています。

    多言語対応メニューの充実

    砂場総本家では、英語をはじめとした多言語メニューをご用意。各料理には写真と番号が付いており、日本語が分からなくても簡単に注文できるよう工夫されています。メニューには以下の情報が分かりやすく記載されています:

    • 料理の説明:食材や調理法を簡潔に多言語で説明
    • 蕎麦の食べ方ガイド:初めての方でも楽しめるよう、イラスト付きで説明

    人気メニュー多言語対応

    タップすると大きな画像になります。

    スタッフの対応

    基本的な英語での接客に対応できるスタッフが在籍。メニューの説明や、蕎麦の食べ方、蕎麦湯の楽しみ方なども、ジェスチャーを交えながら丁寧にご説明いたします。

    文化体験としての蕎麦

    砂場総本家では、単に食事を提供するだけでなく、日本の蕎麦文化を体験していただくことを大切にしています。蕎麦をすする音を立てることが礼儀とされる日本独特の食文化や、締めに蕎麦湯を飲む習慣など、外国人観光客の方々にとって新鮮な体験となることでしょう。

    特に欧米からの観光客には、ヘルシーでグルテンフリーに近い蕎麦(そば粉80%使用)は好評で、ベジタリアンの方にも安心してお楽しみいただけるメニューが充実しています。

    濃厚な蕎麦湯の楽しみ方

    砂場総本家の隠れた名物が、とろりと白濁した濃厚な蕎麦湯です。単なる茹で汁と思われがちですが、実は蕎麦の栄養と旨味が凝縮された、奥深い味わいの一品なのです。

    蕎麦湯の栄養価と歴史

    蕎麦を茹でる過程で、以下の栄養素が湯に溶け出します:

    • ルチン:血管強化・抗酸化作用
    • ビタミンB群:疲労回復・美肌効果
    • 食物繊維:整腸作用
    • カリウム:むくみ解消

    この習慣は信州発祥で、江戸時代中期に江戸へ伝わりました。当時は消化を助ける民間薬として重宝されていたそうです。

    蕎麦湯の3つの味わい方

    1. ストレート

    まずは何も加えずにそのまま。蕎麦本来の香りと、ほのかな甘みを楽しめます。

    2. つゆ割り

    残ったつゆに蕎麦湯を注いで。出汁の旨味とまろやかさが絶妙にマッチします。

    3. 薬味入り

    わさびやねぎを少量加えて。アクセントが加わり、また違った味わいに。

    訪問のベストタイミングと注意点

    混雑を避けるコツ

    • 平日の14:00~16:00が最も空いている時間帯
    • 土日祝日の12:00~13:30は30分以上待つことも
    • 開店直後(11:00)か、15:00以降がおすすめ

    来店時の注意事項

    • 支払いは現金のみ(クレジットカード・電子マネー不可)
    • 大人数での来店は事前相談を推奨
    • 香水の使用は控えめに(蕎麦の香りを楽しむため)

    周辺の魅力・ジョイフル三ノ輪商店街

    大正時代から続く「ジョイフル三ノ輪」は、昭和レトロな雰囲気が色濃く残る商店街。砂場総本家での食事の前後に、ぜひ散策してみてください。

    おすすめ立ち寄りスポット

    大勝湯昭和の風情を残す銭湯。蕎麦の後の一風呂も
    都電おもいで広場三ノ輪橋駅隣接。旧型車両の展示

    まとめ:江戸の味と文化を今に伝える名店

    砂場総本家は、単なる蕎麦屋ではありません。江戸時代から続く蕎麦文化の生き証人として、また昭和の建築文化を伝える文化財として、多面的な価値を持つ名店です。

    伝統の味を守りながらも、決して敷居の高さを感じさせない温かな雰囲気。下町情緒あふれる商店街散策と合わせて、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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