東京の下町情緒あふれる都電荒川線(東京さくらトラム)は、現代の東京に残る貴重な路面電車として、観光客はもちろん地元の人々の日常の足として愛され続けています。この記事では、都電荒川線の基本的な乗り方から、お得な1日乗車券の活用方法、車内でのマナー、そして沿線の見どころまで詳しく解説します。
都電荒川線とは?東京に残る唯一の都電
都電荒川線(正式名称:東京都電車荒川線、愛称:東京さくらトラム)は、三ノ輪橋停留場から早稲田停留場までの12.2kmを結ぶ、東京都交通局が運営する路面電車です。かつて東京都内を縦横無尽に走っていた都電の中で、現在も運行している唯一の路線として、昭和の面影を残す貴重な存在となっています。
全30停留場を約53分かけて走る都電は、1日あたり約170本が運行されており、朝の始発は5時台から、終電は23時台まで運行しています。バラの名所として知られる荒川車庫前や、桜の季節に美しい飛鳥山公園など、四季折々の風景を車窓から楽しめるのが大きな魅力です。
都電荒川線の基本的な乗り方
1. 乗車方法:前乗り・後ろ降りが基本

都電荒川線では、前扉から乗車し、後扉から降車するのが基本ルールです。これは路線バスと同じシステムで、運賃は乗車時に支払います。
乗車の流れ
- 停留場で電車を待つ(整列乗車にご協力を)
- 前扉から乗車する
- 運転席横の運賃箱で運賃を支払う
- 車内の空いている場所へ移動する
2. 運賃の支払い方法
都電荒川線の運賃は均一料金制で、どこまで乗っても同じ料金です。
運賃(2025年現在)
- 大人(中学生以上):170円
- 小児(小学生):90円
- 幼児(未就学児):大人1名につき2名まで無料
支払い方法の詳細
- 現金:乗車時に運賃箱へ投入(おつりは出ないので、事前に小銭をご用意ください)
- ICカード:PASMO、Suica、ICOCA、Kitaca、TOICA、manaca、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけんが利用可能
- 回数券:1,000円の購入で1,120円分利用可能(120円お得)
- 1日乗車券:後述の通り、1日乗り放題でお得
3. 降車方法:降車ボタンでお知らせ
都電荒川線では、降りたい停留場の手前でオレンジ色の降車ボタンを押して運転士に知らせます。
降車の流れ
- 次の停留場のアナウンスを聞く
- 降りたい停留場の手前でオレンジ色の降車ボタンを押す
- 「とまります」のランプが点灯したことを確認
- 電車が完全に停止してから席を立つ
- 後扉から降車する


お得な都電荒川線1日乗車券
1日乗車券の種類と特典
都電一日乗車券
- 大人:400円
- 小児:200円
- 利用可能範囲:都電荒川線全線が1日乗り放題
- お得度:3回以上乗車すれば元が取れる計算


東京都シルバーパス(70歳以上の都民対象)
- 都電荒川線も利用可能
特典情報
1日乗車券を提示すると、沿線の一部施設で割引が受けられます。
- 荒川遊園:入園料割引
- 紙の博物館:入館料割引
- あらかわ遊園スポーツハウス:利用料割引
1日乗車券の購入場所
車内での購入
- 乗車時に運転士に「1日乗車券をください」と申し出る
停留場周辺での購入
- 三ノ輪橋おもいで館
- 荒川電車営業所
- 早稲田停留場近くの売店
都営交通関連施設での購入
- 都営地下鉄各駅の定期券売り場
- 都バス営業所・支所
- 日暮里・舎人ライナーの定期券売り場
都電荒川線での車内マナー
基本的な車内マナー
乗降時のマナー
- 降りる人を優先させてから乗車する
- ドア付近で立ち止まらず、奥まで詰める
- リュックサックは前に抱えるか、網棚に載せる
- 傘は他の乗客に当たらないよう注意する
車内でのマナー
- 通話は控え、端末からは音が出ないようにミュートにして利用
- 会話は控えめに
- 飲食は原則として控える(水分補給程度はOK)
- ヘッドホン、イヤホンの音漏れに注意
観光客として心がけたいこと
写真撮影のマナー
- 運転席付近での撮影は控える
- 他の乗客が写り込まないよう配慮する
- フラッシュ撮影は禁止
- 混雑時は撮影を控える
- 停留場での撮影は、乗降の妨げにならないよう注意
地元の方への配慮
- 朝夕のラッシュ時は観光を控えめに
- 大きな荷物は網棚を活用する
- グループでの乗車時は、車内で固まらず分散する
都電荒川線利用時の注意点とコツ
時間帯別の混雑状況
平日の混雑パターン
- 朝(7:00-9:00):通勤・通学ラッシュで混雑
- 昼(11:00-14:00):比較的空いている
- 夕方(17:00-19:00):帰宅ラッシュで混雑
土日祝日の混雑パターン
- 午前中:比較的空いている
- 午後(13:00-16:00):観光客で混雑
- 桜や紅葉の季節:終日混雑
天候や季節による影響
雨天時の注意点
- 床が滑りやすいので乗降時は特に注意
- 傘の取り扱いに注意(傘立てを利用)
季節ごとの対策
- 夏季:冷房完備だが、混雑時は暑くなることも。熱中症対策として水分補給を心がける
- 冬季:暖房は効いているが、ドアの開閉で寒くなることも
バリアフリー対応
車いす・ベビーカーでの利用
- すべての車両がバリアフリー対応
- 乗車時は運転士に声をかけてスロープを出してもらう
- 車いすスペースは中央部にあり
視覚・聴覚サポート
- 次停留場の案内は音声と電光掲示板で対応
- 優先席付近には点字案内あり
都電荒川線をもっと楽しむコツ
一日乗車券(400円)で一日満喫できるガイドはこちらから!

まとめ:都電荒川線で味わう東京の新たな魅力
都電荒川線は、単なる移動手段ではなく、それ自体が観光資源として楽しめる貴重な路面電車です。前乗り・後ろ降りという基本ルールを守り、1日乗車券を活用すれば、お得に沿線の魅力を満喫できます。
地元の方々の日常の足であることを忘れず、マナーを守って利用することで、観光客も地元の方も気持ちよく都電の旅を楽しめます。四季折々の風景、下町の人情、歴史ある街並み。都電荒川線に乗れば、東京の新たな一面を発見できることでしょう。
次の休日は、ゆっくりと時間が流れる都電荒川線で、東京レトロな小旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。